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ニュージーランドから、友達アレンが東京に来た。彼女はカリグラファーなので「和紙を手に入れたいので、どこかお店を知らないか」と問い合わせがあった。 私も"和紙"のことはくわしくないので、東京案内がてら、東京芸大に行くことを思い付いた。久し振り旧友に会えるたのしみもある。 芸大について友達を探すため名札を目で追っているうちに"秋田蘭画の研究者"として、 山川 武 の名があった。 学生時代にお世話になったその人の名を、初めて買った二万五千円の「秋田蘭画」の本のあとがきで知った。今は東洋美術史の教授である。 いつか訪ねて、話を聞きたいと思っていたので、守衛室から電話してもらった。 今回は主に和紙のお店のことを聞いたのだが 「日本画科の人は、最近和紙を使っていない。紙のことなら版画科の先生に問いあわせたらいい」と版画科に電話して下さり、バッチリこちらの望み通りのお店を教えてくれた。 教授はとても懐かしがって下さり、秋田蘭画の小田野直武の話もでた。いい日だった。 |
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私は平福画伯を尊敬しているだけでなく、平福美恵さんの美貌と知性に、いつも羨望で緊張しているのに、私の手をしっかり包み、感謝してくれる。お年は、私よりもはるか先輩にちがいないが、キリリと格調が高い。 「京子先生も、とってもよく教えて下さって私は幸せです。画家の家に嫁いだので、絵が描けたらいいなぁと、長いこと憧れていたのですが、この年で実現できたのですから、嬉しくてたまりません」と言いながら握っていた手の感触もなまなましく残っている。この手で開いた本に平福画伯のことが出ている。 小田野直武さんの絵は、キミ子方式で描いた絵とすごく似ている。植物、動物が特に。肉迫して描く感じが似ている。 秋田美術館に「不忍池図」があるはずだと教えてくれたのも汽車で出会った古物商の方だ。 タクシーを飛ばして、一日かけて探し回った秋田美術館は、特別展のため蔵に入っていて見せてもらえなかった。 <あー無駄な一日になりそう>と思って帰りのタクシーの運転手さんにこぼしたら 「秋田へ来たなら角館へいかれたら?京都みたいですよ」と教えてくれた。 どうせヒマだからと途中下車したのが角館だった。駅で地図をもらい、古都を歩きはじめ、はじめてのお寺で、なんと小田野直武の墓を見つけてしまった。 それから活気づき、小田野直武の生家に行き、美術館に行くよう進められた。美術館は北欧の古い建築様式の洋館で、広場をとりかこんで回廊があった。 "秋田蘭画とその周辺展"を見た。そこで館長さんに「小田野直武の作品を探している」といったら、出版されて一日後の本を見せてくれたのだった。その場で無理を言って買わせてもらった。 今、その本を見終わった。最後のページに、その時の美術館のカタログがはさまっていた。 「角館町平福記念館」となっていた。<平福!!> もっと驚いたのは、そのカタログの表紙の絵は、平福百穂の「富貴花」だった。 |
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