キミコ・プラン・ドウを解説して三年が過ぎ、四年目にはいった。
例年この場所で、五月のゴールデンウイークを中心に個展を開いている。
今年は、八王寺に住む、旅行会社勤務の関澤直史さんが「サラリーマンのほろ酔い絵日記」と題して二十三点の作品を展示している。
五月二日の朝、「キミ子さんに会いたいと人がきています」と会場から電話がかかってきた。行ってみると、七人の男たちが椅子に座っている。どう見ても、絵を見に来た雰囲気ではなさそうなその人たちを見たとたん「キャー!」と叫んでしまった。
私の高等学校時代の同級生七人だった。
おもわず「高校生の時はお世話になりました」と深々と頭を下げてしまった。
私は理数系がニガテだった。芸大志望の私は、受験に必要ないものはことごとく切ってきた。最低の出席日数、最低点。とにかく大学に入るために、高校を卒業するのが目的だったからである。
ところが数学は、卒業のための最低点さえ取れそうもない。一、二年の数学の試験前一週間くらいは、トモダチの下宿に行って、トモダチから特訓を受けていたが、高三の数学は特訓では間に合わないと、トモダチは決断した。
「カンニングをやろう!そして全員一緒に仲良く卒業しよう」
そして、数学のできるトモダチ何人かは、すばやく回答用紙を作る係になり、試験中に我らできない者に回す。
決して満点の回答を全部うつさず、六十%くらい書く。先生の目をごまかすために、試験開始の何分後に、誰かが先生に質問して先生の注意を引きつけ、その間に回答用紙を横の人に渡す。というシナリオを発表した。
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