馬が放牧されている、広い牧場の前に場所を決めた〈馬のいる風景組〉。
まずは黄色いチョークを使って、〈動く人〉の応用で、馬を腰から描いていきます。一頭描けたら、となりの一頭と二、三頭描いて、それから絵の具で色を着けていきます。始まる前に、動物大好きな関澤さんが「馬の後ろ足って、腰のすぐ下が膝になっていて、人間の膝の位置にある間接が足首、それで足の平が長くて、つま先立ちしているようになっているんだよね」と教えてくれました。「それがわからないと、人間が馬のヌイグルミに入っているようになっちゃうんだよね」。確かに良くみるとそうなっています。それをみんなに伝えると「おー、馬になった」と大喜び。
風景を描くのが初めての、富永・母と高橋さんは、牧場の中に一本、スクッと立っている〈樹〉を描いて〈牧場の風景〉に。
場所が決まらなくてウロウロしていたけど、ボクが「ココからがいいよ」と場所を決めてあげて、色を作りはじめました。
キミ子方式が初めての塩野・母と水谷さんは、草原の中で、高原の植物を描いています。アカマンマの花の色が、目にまぶしいくらいに赤く輝いています。富永・娘は、草原の中で目の前の樹をやはり幹から描き出しました。
東海三人組と北原さん、芳くん、田添さんが動物組。まずは、ヤギにさわらしてもらってから鼻から描いていきます。
陽射しがあって温かい日なので、夕方まで描いて、宿に戻りました。みんなは部屋に荷物を置いて、ひと休み。鬼沢さんは「こういう場所じゃないと、思いきり吹けないからね」と、持参したトランペットを持って、宿の近くの森で曲を奏でています。ボクと国田さんは、裏山を散策しながら、ナイトセミナー用のモデル、キノコや草花、実のついた木々や、まだ枝の着いているドングリなどを集めて回ります。
夕食後、食堂をお借りして、ナイトセミナー開始。
関澤さんは、昼間、牧場で採ってきたトンボを、絵の具で描くグループ、草花を色画用紙に描く人たち。キノコをカットで描く人、それぞれが夜遅くまで、筆を走らせていました。
翌日、朝からくもりで、あやしい空模様。牧場に着くと、ポツリと雨が落ちてきました。馬のいる風景を描いていた人達の後ろに休憩所があって、そのテラスに場所を移して、昨日の続きを描き出します。牧場の草原をチマチマと描くのは少し辛そう。それぞれ休憩をとりながら、筆を動かして行きます。動物組も、毛並みにそって毛を増やしていって、目を描く所くらいにくると、楽しくなってきたようです。「昨日は追いかけていたヤギも、今日はモデルをしてくれるために寄ってきてたんだよ~」と、佐藤さんは感激して、みんなに話していました。
お昼を過ぎる頃には、天気も良くなってきて、雲の切れ目から陽がさしてきました。昨日、草原で草花を描いていた三人は〈空にススキ〉を描いてそろそろ完成が近づいています。
終了時間の三時半前に、動物組が描き終えて帰って来ました。みんな自分の作品を抱えて嬉しそうです。その頃、馬のいる風景組は、牧場の後ろに広がる山並みあたりで、どこを描いて、どこを省略するかで思案しながら最後の追い込みです。中には、一枚の画用紙を切って構図を決めて終わりにする人も。新幹線の指定席をとっている人もいるので、ギリギリまで描いて完成にして、昨日昼食をとった食堂に集まり記念撮影。
車で来ている人、バスで駅まで行く人、に分かれて解散になりました。
帰りのバスは、駅まで行く間にみんな疲れてぐったり。駅でロッジの主人、武井さんに「また、来年お会いしましょう」と手を振って、それぞれ帰路に着きました。
後日、久しぶりにイベントに参加してくれた福永さんからおハガキが届きました。
「楽しく充実した二日間をありがとうございました。こんなに幸せは旅をしたのは初めてです。目的のある旅って良いですね。
夜のセミナーでは、時間の制限もなく、こんなに思う存分、ひとつのことに集中できる喜びをかみしめていました。遅くまで居残り、申し訳ありませんでした。そしてありがとうございました。
今まで、何か情報を得たくて、話術もない私にも少しでも言葉のシャワーを受けたくて、そして、教えるという立場から何か知識を得たくて、手さぐりで色々な団体のイベントに参加していました。カラーセラピーにも、ずい分通いましたが、でも本当は〈自分のため〉に、絵を描くことが一番幸せだということに気付いてきました。キミ子方式の旅は、まさにそういう集まりで本当に嬉しかったです。
それにしても、ご一緒した方々が、良い方、ステキな方ばかりで、作品も力作ぞろいで、刺激的でした。
絵は〈大きさは関係なく、小さくてもいいんだ〉という事、痛感。ペンのスケッチも行きたいな~、国内のどこでもまた無理をして参加したい勢いで魅了されています。よろしくお願いいたします。」